彼と過ごしたはずの思い出は、二人揃って海の藻屑になった。あなたは、子供が生まれた時に喜んでくれていたのだろうか。母の隣で抱いてくれたこともあっただろうか。あなたにも、幸福だった日々があった?あなたの憎しみを理解する日はきっと来ない。でも叶うなら、父と呼んでみたかったよ。――父さん。
私はあなたじゃない。あなたも私ではなかった。エルの主様は、置いて行ったりなんかしない。足を止めていたら、振り返って心配してくれる人だった。だからあなたの気持ちはわかりません。でも、この手が離れてしまったら胸が張り裂けそうに痛むから。届かなかったあなたの想いは、私が連れて行く。
終わる、始まる、また終わる。そして始まる。繰り返す、この世界は繰り返す。男の悲願が果たされるまで。そんな日は来ないと、お前が一番わかっているだろうに。全く、付き合う身にもなってほしいもんだ。私はいい加減飽きたよ。たまには違うことをしたっていいだろ、どうせすぐに終わるんだから。
親友と瓜二つの彼は、魔神と同等の力を持って召喚された。何故、と問うあなたに、彼が答えたのはたった一言。「あなたに、会いたかったんです」人間でなくなってもかまわなかったのだと。もし自分が彼の立場だったなら、どうしただろう。――彼を守って戦えるのなら、それも悪くないかもしれない。
「雪だ!」はしゃいだ子供たちが外へと出て行く。取り残されたクロウがいつも通り室内で過ごそうとしていたら、ふたり分の手袋とマフラーを持ってきたあの子が「一緒に遊ぼう」と誘ってくれた。みんなが元気よく雪玉を投げ合う中で、小さなうさぎを作る。このままずっと解けなければいいのに。
イベント
「で、何を描いたの?」
「猫です」
「ねこ」
「猫です……」
「猫って足六本あるっけ……?」
「尻尾です……」
「ああ尻尾……もう一本は?」
「顔ですね……」
「そっか、顔。……顔っ!?か、かわいいね……?ほら、個性的で……」
「目が泳いでいますよ……」
「今度一緒にスケッチしようか……」