ゴエクロ世界はループしているでは少し話が逸れるため触れませんでしたが、枝/辿るかもしれなかった世界の話は前作ゴエティア-千の魔神と無限の塔-でも出てきています。
ゴエティア-千の魔神と無限の塔-
レン「主人公様が召喚されたこの世界は 既に滅びを迎えようとしています。中央に1本の塔がある世界。それが元ある姿でした。塔には世界を統べる王が君臨し、王の力により世界に命の流れが生まれていたのです」
レン「ですが、王は姿を消しました。そして王が姿を消すと同時に、この世界は滅びに向かって歩み始めたのです。王が姿を消すだけで滅びに向かう理由は簡単です。この世界の熱量は、塔が他の世界にまで枝を伸ばし、少しずつ分けて貰う形で得られていました。葉より熱を得て根に返す。いわゆる樹木とは全く別の形ではありますが、そうして世界を維持していたのです。塔が導く階層世界「塔界」主人公様の世界もその一つかもしれません。塔界からの供給が断たれているのが現状です」
レン「話が長くなってしまいました。主人公様は世界を救うため、「新たな王」となって頂くために召喚されました。王の候補者にも塔を産み、枝を伸ばす力はあります。塔は持ち主の力に応じてその枝を広げ、新たな塔界へと導かれるでしょう」
(基底部 目覚めた先に)
ナータン「塔が貫くのは、いくつもの世界。辿るかも知れなかった可能性を内包した世界だ。この概念はあいつから聞いたものだけどな。まるで物語のようだ、と笑っていたよ。元の世界では溢れている空想だと。俺もそのときは笑った。だが、今なら理解できる。
『いくつものお前やネイサンが存在する』この世界を見てな」
(第四塔界 ナータンの言葉 Ⅲ)
ナータン「ああ、変わったのは「第五塔界以降」だけだ。「第四塔界まで」と「第五塔界以降」は、違う塔だったんだろう。「第四塔界まで」は、あいつと、あいつの可能性である主人公が繰り返し続けた世界。ルールが壊れた「第五塔界以降」は可能性の繰り返しがない。必要ないからな。だから、繰り返さなかった場合の世界だ。「繰り返した場合の世界」と「繰り返さなかった場合の世界」がある。それぞれが真っ二つになってくっついたってことだ」
アスタロト「……お前が夢想家だとは思わなかったぞ、ナータン」
ナータン「昔あいつが言っていたことを思い出してね。少し考えてみたんだ」
(第五塔界 未知の世界)
ゴエティアクロス
クロウ「我々には空間の歪みが見えません。グレモリ様にはどのように見えているのですか」
グレモリ「うーん、そうねー。難しい質問だけど、あえて例えるなら木の枝かしら」
クロウ「枝……ですか?」
グレモリ「ええ。今私は、ベルちゃんと話した空間の狭間まで伸びている枝を辿っているの」
リガル「なんだよ、その言い方だと枝っていうのは何本もあるみたいじゃねーか」
グレモリ「その通りよ。空間から空間に繋ぐ木の枝は複雑に重なりながら伸びているの。今私たちのいる世界が木の幹だとすれば、ベルちゃんがいる場所はその幹から伸びた枝のひとつでしかない。木はたくさん枝を伸ばすでしょう? だからここから沢山の枝が伸びている」
グレモリ「この世界が辿る可能性のある未来。この世界が辿るかもしれなかった過去。もしかするとこの世界とは限らないわね。でもね、その辿った先の世界もそこから枝が伸びている場合もあるの。だからさっきこの世界が木の幹と例えたけれど、もしかするとどこかの木の幹の枝の一部なのかもしれない」
(2部ベルゼブブ編6章5節)