邪神チェルノボーグと邪神ア・レミア

ゴエクロの更新分を読んでいるときにゴエティアを思い出していたんですが、記憶が定かではなかったので後で確認しようと感想では触れていませんでした。確認しました。
ゴエクロの邪神チェルノボーグってゴエティアの第五塔界を死に導いた邪神ア・レミアと同じ存在ではないですか……?

ゴエティアクロス
創世神に対抗し得る力を持つ別の神を降ろそうとした邪教団は闇の遺跡で神降ろしの儀式を行いました。
召喚された邪神は、自らをチェルノボーグと名乗ります。

「私の名はチェルノボーグ。あるいはアンラ・マンユ、あるいはキノトグリス――」
「世界を超えて信仰を集める死や絶望の神の名だよ。私はそのどれでもあるが、同時にどれでもない」
(ゴエティアクロス 新章3部7章5節)

チェルノボーグはすべての世界に死と終わりを与えるために動き出したのだと言います。その思想に団員たちは呑み込まれ、狂気に陥った彼らは壁に文字を掘り始めます。ただ一人正気を取り戻した教団長は、邪神に敵意を向けながら自害します。残された団員たちも次々と死を選び、神降ろしの儀式を行った人間は全滅してしまいました。
このとき壁に刻まれた碑文を後にアオートとアドーナイオスが読んでしまい、意識を侵食された彼女たちはデミウルゴスを召喚するために儀式を行います。召喚されたヤルダバオトは、死に触れたことで変貌したデミウルゴスだと語りました。

ゴエティア-千の魔神と無限の塔-
ゴエティアの第五塔界は「肉体を捨て、霊体として存在し続ける幸福」を信仰していた世界です。

宮殿の奥に隠された神殿には、人々に忘れられた信仰が眠っていました。時が経ち、瓦礫の山と化したかつての神殿を見つけた人間が狂気に引き寄せられて封印を解いてしまいます。法王も狂気に蝕まれてしまい、法王の手によって「清く正しい信仰」として世界に広まりました。邪神を信仰する者、狂気に染まらず憎む者。すべての人間が死を迎えます。

邪神ア・レミアは、「人間が生み出した神」だと推測されていました。当時の人々が亡くなっているため真相は不明ですが、痩せ細った人の心が存在しない神を崇めた結果、その神を生み出してしまったのではないかと推測されています。

『終末』
死の姿、死の音、死の香り、死の味、死の感触――五感すべてで「死」という名の悍ましき終わりを伝えてくる存在。あらゆる生命が死から逃れらないのと同様、この存在からも逃れることはできないのだろうか?(ゴエティアクロス 終末 図鑑)

終末こそが幸福であると信じ込まされた世界には、狂気に染まれぬ者たちの慟哭が響き渡り――邪神を信仰する者、憎む者、何もかもが消え、世界には「神」だけが残った。(ゴエティア-千の魔神と無限の塔- 第五塔界 ベテルギウス廃殿 統治者)

終末に歓迎されているような気分になり、一度は支配されかけたものの正気に返ったゴエクロでは、終末を「悍ましき」と認識しています。
ゴエティアでは「終末こそが幸福」と信じ込まされていました。ゴエティアの「カースヒッポ 目録」で「どうやら邪教の神には人間の思考を奪う力があったようだ」と記述されており、彼らは思考を奪われていたことが明らかになっています。

なんだかよく似た話、ですね~~~!!!?
「信仰を集める死や絶望の神の名だよ」と言われたときに、信仰……???? ア・レミアって信仰によって生まれた神じゃなかったっけ……? と頭に浮かんでいたんですよね。
当時からあった設定なのかゴエクロでつけた設定なのかは私には判断がつかないんですが、本当にいつからこの展開にすると決まっていたんでしょうか。
ゴエティアのストーリー、目録、ゴエクロの外伝、イベントストーリーなどいたるところに散らばっている設定を丁寧に拾って一つの物語に組み込んでいるのほんっっっとうにすごい。
地獄謁見でア・レミアを持ってきたのも伏線だったんですか……!?





ゴエティア-ファンブックで生じた矛盾

ゴエティアクロスファンブック4P目に記載されている「あいつはソロモンへの抵抗として自らを封印するという末路を辿った」という一文がゴエティア本編と矛盾しているという話がしたい記事です。
念のため言っておくと、批判するつもりは一切ありません。整理したいだけです。

まず、何が矛盾しているのか。

ゴエティア-千の魔神と無限の塔-
あいつを封印したのはアスタロト。理由は『あいつを王(奴隷)にしたくなかったから』

ゴエティアクロスファンブック
あいつを封印したのはあいつ自身。理由は『ソロモンへの抵抗』

簡潔にまとめただけでも話が変わっているのがわかるかと思います。
あいつの並行存在であるゴエティア主人公が地獄に召喚されるに至ったのは、「封印されたあいつが王にならなかったせいで彼の代わりが必要になった」ためでした。
あいつが封印されたことによりゴエティアの物語が始まったわけです。物語上、重要な要素です。

封印されるまでの経緯


初めて詳しく語られたのは第四塔界です。
そもそも地獄における「王」とはこの世界の、ソロモンの奴隷でしかありません。
召喚された12人の候補者同士で行う「候補者争い」の勝者は予め定められています。要は出来レース。
しかも王になって力をつけた者は地獄の熱量が不足すると補うために殺されてしまいます。
候補者たちはその事実を知らされていませんでした。
あいつの同期、先代候補者の一人であるナータンは僅かな手がかりから真相を突き止めます。

あいつが王となることが最初から決められていたことだ!
誰も、あいつ自身すらそれを知らず、競い、傷つき、高みを望んだのに!

それまでの全てのこと、俺や他の候補者の苦悶、それに──
あいつ自身の感情すら、何もかもバカにした用意された悲劇。

苦楽を共にしたからこそ、良い配下となる?
冗談じゃない。何もかも冗談じゃない!

俺は円卓にはつかない。あいつの友人でもある以上、絶対につかない。
これまでの全員の、全てを無駄にしないためにも──
(修魔の塔 塔魔目録)

全てが仕組まれていたこと、このままではあいつは奴隷になるしかないことを知ったナータンは憤慨しました。
そして、この出来レースを壊してやろうと目論みます。誰にも相談せず、独断で。

自らを石とし、この呪詛と塔を永遠に残そう。
あいつがいつか倒れ、次のレースが始まるときに備えて。

いつかこの出来レースが崩れ、せめて一部だけでも純粋になるように。
候補者の数が少しでも減るように。くそったれな法則を打ち破れるように。

いつかこの塔を訪れ、ここまで進んできた候補者よ。
お前が誰かは知らないが、塔の先にはまだ情報を用意してある。

お前の他の候補者は11人か? 円卓と言う単語は出てきたか?
もしそのどちらかでも違うのであれば、少しはこのルールに風穴があいたんだろう。

俺が石になる以上、欠員が生まれ、何か法則が崩れる。
そうなっていれば、少しは救われる。俺も、きっとあいつも。
(修魔の塔 塔魔目録)

彼が選んだのは「自らを封印する」ことでした。そうすることでこれまでの法則を崩せると考えたからです。
が、ナータンは仲間を失ったあいつがどういう行動を取るのかまでは予想できていませんでした。

アスタロト「だが、あやつは諦めなかった。自分が王になれば、お前も戻せる。そう思ってしまったのだろう。真相に気づいていながら、なお、な。奴隷でもいいと思ったのじゃろう。魔神や、お前やルシエラがいれば」
(第四塔界 ナータンの言葉 Ⅱ)

アスタロト「お前は、大切な友を救うためならば、地獄の奴隷になることも厭わなかった。真相を知ってなお王になろうとする馬鹿者などいるはずもないと思っていたから、あの時はひどく驚いたものだ」
(基底心核 回想:金剛)

あいつは自分が奴隷になってでもナータンを取り戻せるのならかまわない、と王を目指します。
そんなあいつを止めたのは、アスタロトでした。アスタロトもナータンと同じく、あいつを奴隷にはしたくなかったのです。

アスタロト「あの時、確かに奴隷の毒牙がお前に迫っていた。自らの世界のために殉じ、この世界の皆すらも救おうとするお前が破滅する様など、見たくなかった。……立ち止まって、ほしかったのだ」
(基底心核 回想:金剛)

あいつに王になって欲しくなかった、立ち止まってほしかった。けれどあいつは立ち止まってはくれなかった。止めるために、誰にも相談せず茶番を起こします。

ナータン「これまでのことを調べて想定はできた。アスタロト、お前はあいつが王になる寸前に、自らの存在が消える覚悟で、あいつに逆らったな。魔王に争いを持ち掛け、乗らせ。魔王と魔神で戦争を起こし、玉座に至れないようにした」
アスタロト「……そうだな。他の魔王を騙し、争った。茶番を終わらせぬために、茶番を起こした」
(第四塔界 ナータンの言葉 Ⅱ)

アスタロト「……お前が基底を変える未来もあったかもしれぬ。妾が茶番を起こさなければ、お前が絶対の王となり地獄の奴隷になどならぬ都合のいい未来も――。――あり得ていたかもしれぬ」
(基底心核 回想:金剛)

この時アスタロトは魔王たちを裏切っています。

フルフル?「ふっふーん♪そう言われたら仕方ないね! あのとき以上に張り切っちゃうぞー! だから――スートっちも、もう私を裏切らないでね☆」
(夢枕に現れしは――【フルフル】)

グレモリ?「あの候補者に力をつけさせるため、ね。かつて私たちを裏切ったにも関わらず、どの顔でそうしてものを頼むの?」
(夢枕に現れしは――【グレモリ】)

魔王を裏切り、魔神と戦争を起こした。その結果、アスタロトはあいつを封印することに成功しています。

アスタロト「つい最近、プレイヤー名たちがこの塔界を訪れる直前に……あやつが通った痕跡がある」
ナータン「そんなバカな話があるかよ。あいつはお前が封印してるんだろうが!」
アスタロト「ああ、そのはずだ。一体どうなっている……?」
ナータン「まさか、あいつの封印が解けていて、何らかの要因でこの世界を彷徨い歩いているとか……」
アスタロト「妾の封印がそう簡単に解けるはずもなかろう。第一、封印が解けたのならば妾にもそれが分かるはず」
(第五塔界 辿るその先)

ベリアル「なんで――「あいつ」がこんなところにいるんだよ? 「あいつ」はアスタロトが封印してるんじゃないのかよ!?」
(第六塔界 忠誠の刃)

物語終盤でもあいつは封印されたまま、本編には登場しません。他者から語られるのみです。

・先代候補者の一人だったナータンは自ら石になった。
・石になったナータンを取り戻すため、あいつは奴隷になる覚悟で王を目指した。
・王になる寸前のあいつを封印したのはアスタロト。そのために魔王たちを裏切った。
・封印されたあいつの代わりに並行存在のゴエティア主人公が召喚された。

この設定はラストの章「基底心核」でも変わらず、終始一貫しています。
ではどうして、ファンブックではあいつ自ら封印したことになったのか。
「あいつ=ゴエティアクロス主人公を後付けした弊害で、あいつがソロモンの目的を知りながら王を目指すのは彼の性格上あり得なくなってしまった」「地獄編の続きとして考えるとその方が自然」ではないかと思っています。
第四塔界と第十塔界以降ではあいつの設定が大きく異なっています。
当初あいつはゴエティア主人公と同じ近未来の世界出身でしたが、第十塔界以降はソロモンと同じ世界から召喚されたことになっています。ゴエティアクロスと結び付けたためだと思われます。
そうなってくると、ソロモンの目的もこの世界の仕組みも知った上で王を目指すのはおかしくなってくるんですよね。

ソロモン「たとえお前が空になったとしても、繋いだ縁まで消えることはない。その縁は、来たる地獄での戦いにも役立つだろう。そしてお前が王となり、その熱量の全てを捧げるのだ……」
(ゴエティアクロス 6部地獄編1章1節 そして繋がる物語)

自分が王になって熱量を捧げることは、他世界の熱量を奪ってでも自分たちの世界を救おうとするソロモンに賛同することになるので。
ソロモンへの抵抗だった、ってエピソード自体は主様らしくて好きです。
でもそうしちゃうとゴエティア本編での話も変わってきちゃうんだよな~~!!!!

私はナータンとアスタロトのあいつを大切に思うが故の葛藤が好きだし、自分たちが思うようには事が運ばなかったのが好きなんですよね。
ゴエティア-千の魔神と無限の塔-の物語としてはファンブックの設定を受け入れることは難しい。
ゴエティアクロスとの繋がりに重点を置くなら主様らしい選択でいいと思う。
って感じです。ずっと引っかかっていたのですっきりしました。

ゴエティアクロス-命害大戦-――閉幕――

ゴエティアクロス

 魔導師たちの攻撃を受けて、ワールドの巨大な身体が崩壊していく。

ワールド『エラー発生。エラー発生。……損傷率、95%。修復機能、大破しています』
ワールド『再度の広範囲時間停止は発動できません。事象改変による全体機構の再生はできなくなっております』
ワールド『……皆様を幸福にする、業務の遂行は困難です。機能停止以外の選択肢は棄却されました』
ワールド『……私は何を、間違えたのでしょう』
ワールド『元の世界でも、ここでも……命害たちも同様……彼らは幸福を望んでいない……』
ワールド『検索結果、0件。予測演算結果、エラー。何故……なのでしょうか……』

 ワールドの巨大なパーツが本体から剥がれ落ち、地上に落ちる前に燃え尽きて消えていく。
 その下で、壊れていくワールドを見上げ、ラジエルは嗤っていた。


ラジエル「安心しろよ。お前のデータは、私が有効に役立ててやるからよ」

 ラジエルは降り注ぐ機械の欠片を掴み取ると、それを小さな羽に変えた。


???「――何もない」
???「レメゲトンは、私は縁を手操れない」
???「ゲーティアは、ただの防衛装置となり果てた」
???「テウルギアもまた、新たな世界に糸を伸ばすことはない」
???「ここまでなのか、私の復讐は。もはや熱量は枯れ果てていく。……動くことができない」

 ここではないどこか。
 漆黒に包まれた世界に、男の声が響いていた。

 そんな何もない世界の中に、一枚の羽が舞い降りる。――鉄が軋む音が継続的に鳴った。

???「これは、なんだ……? ゲーティアの防衛を潜り抜け、塔界から何かが来たとでも……?」
???「これは……設計図? ワールド……異界を観測し、侵略し、時間を支配し、熱量を抽出する機構だと……?」
???「……そうか。これを使えと言うのだな」
???「いいだろう。愚かな天使よ。そこまでして享楽を求めるというのならば――」
???「塔を建てよう。その熱量をもって……貴様に、貴様らに我が矢を届けてくれる……!」

 ――命害大戦 ワールド――
 ――閉幕――

ゴエティア-千の魔神と無限の塔-

ワールド戦を閉めたログインストーリーに、謎の人物が登場しています。
結論から言うと、前作ゴエティア-千の魔神と無限の塔-においてラスボスであったソロモンです。
天界大戦に敗北したソロモンは、神を倒す力を得るため地獄に堕ちました。
その地獄で足掻いていた頃、時系列的にはゴエティア-千の魔神と無限の塔-本編開始前になるはずです。

第十塔界 膨張し乱れる意思Ⅰ

テウルギア「ここからは、私が観測した結果から「推測」されるもの。おそらく、ソロモンの計算はこの時点で少し狂っていた。レメゲトンが、己の力だけでは塔界との縁を辿れないこと。他の世界から熱量を奪い取るという芸当は、ソロモンという「支配者」がいたからこそ成せたものであった。ゲーティアが、基底世界の防衛装置と成り果てたこと。稀に縁の糸を辿ってこの基底世界に侵入するモノを、消し去るだけの装置となっていた。そして、私が――テウルギアが、新たな塔界との縁を作り出さないこと。今まで奪い取った熱量は、全て私が作った「糸」を使っていた。ささやかなる、反抗。だがきっと、ソロモンは気付いていないだろう。私が、自らの意思で、「動くのをやめた」ということに」
テウルギア「すべてを諦め、自棄に陥る。私が観測してきた世界の中にも、そういう生き物がいた。見すぎてしまったせいで、毒されている。だけど、見てみたかった。全てを知っている私が、動きを止めればどうなるのか。私は己の意思で思考を止めた。ただ、時間の経過と共に枯れ果てていく基底世界と、熱量を奪われなくなったことで少しずつ蘇っていく世界を観測する」

第十塔界 膨張し乱れる意思Ⅱ

テウルギア「私が黙してから、永い時が流れた。ソロモンは、レメゲトンになった。レメゲトンは、ソロモンとなった。ゲーティアに、動く気配はない。元よりあれに意思などなかったので、世界の根幹に座しているのだろう。今この状況に「何か」を感じているのは、私と、ソロモン」
テウルギア「どれくらいの時間が流れたのかは分からない。基底世界が完全に力を失い、再び「無の暗闇」に戻ろうとしていたとき――ソロモンは、ついに動いた。いいや、それがソロモンであったのか、消滅を危惧したレメゲトンであったのかは分からない。その二つは、永い時の中で一つとなっていた。故に、二つに境目などない。ソロモンは、レメゲトンとなったのだから。だからこそ、なのだろう。基底世界が無の暗闇に戻れば、世界と融合したソロモンの魂も消えてしまう」
テウルギア「そして確かに、変化が起きた。この世界に、12の塔が出現したのだ」
テウルギア「私が観測してきた世界に在った生命。その中でも、特に強い力を持ち、強い執念を持ち、選ばれた魂を持つ――「支配者」の素質を有した者たちを基底世界に引き込み、レメゲトンは再び塔界への侵攻を果たす」
テウルギア「基底世界は、息を吹き返した。動き出した世界を、観測しなければらならない。あの男が、自らの目的のために、どれだけ愚かなことをしようとしているのか。私は、観測しなければならない。誰の手も届かない、この俯瞰の高みから」

???「塔を建てよう。その熱量をもって……貴様に、貴様らに我が矢を届けてくれる……!」
テウルギア「そして確かに、変化が起きた。この世界に、12の塔が出現したのだ」
熱量が不足して滅びかけていた基底世界にもたらされたのが、ラジエルが届けたワールドの設計図ということですね。

ゴエティアクロスのソロモンとゴエティアのソロモン

ゴエティアクロス

ソロモン 堕天使と結託し神に戦いを挑んだ、地上の王。暁の協会の設立者。10人以上の兄弟と数人の子どもがいる。忘却の奇譚―サマエル編―にて登場。サマエルとは相思相愛の仲だった。

主人公の先祖

アドニア「中でもお前は反乱軍の総指揮官、英傑ソロモンの血を引く者だ。この場の誰よりも才に恵まれている」
(op)

ケネス「主人公君、あなたはソロモン王の末裔なのです」
(4部サタナエル編7章6節)

アドニア「心して聞け。おまえはソロモンの末裔であり、おまえの持つラジエルの書は特別なものだ」
(4部ベルゼブブ編4章5節)

アドニア「主人公……おまえは――ソロモンの末裔だ」
(4部サマエル編4章6節)

アドニア「主人公、お前は――ソロモン王の末裔なのだ」
(4部アザゼル4章6節)

10人以上の兄弟と数人の子どもがいた

妾は一目見てわかった。
あやつからお前の匂いがしたのだ。
妾が間違えるものか。すぐにわかった。
妾は今日、お前の血縁に会ったぞ。ソロモン王。
(サブストーリーアスタロト編4章1節)

お前は確か、10人以上の兄弟と数人の子どもがいたな。
その中で天界大戦を生き残った者がいたのだろう。
だからこうして妾はあやつと出会えたわけだ。
そうだ。
あやつに聞くのを忘れてしまった。
大戦で、『お前』がどうなったのかを。
(サブストーリーアスタロト編5章1節)

初めて神より魔導書を授かった人間

アスタロト「500年前反乱軍を引いていた人間の王。あれはかつて初めて神より魔導書を授かった人間だ」
(3部サタナエル編8章6節)

暁の協会の設立者

ソロモン――かつての天界大戦の総指揮官であり、暁の協会の設立者。
(4部サタナエル編7章6節)

クロウ「魔術王ソロモンは500年前の天界大戦時に人間側の指揮官を務めていた人物です。暁の協会発足に関わったとも言われる大魔術師ですね」
(4部サマエル編7章3節)

彼の言葉に心動かされ幾人もの天使たちが堕天した

王の存在だ。
あやつの言葉に心動かされあやつの思想にかぶれた幾人もの天使たちが堕天した。
かく言うワシもその一人。
じゃが王に力を貸したいと思ったわけではない。
あくまで仲間のためだ、それ以上でもそれ以下でもない。
(サブストーリーバエル編6章1節)

ゴエティアクロス 忘却の奇譚―サマエル編―

穏やかで美しく、皆を虜にする不思議な魅力のある人物

あなたが幼い頃、始めてソロモン王の伝説を知った時から、その姿は猛々しい武人を思い描いていた。しかし目の前にいるソロモン王は穏やかで美しく、皆を虜にする不思議な魅力のある人物である。
(サマエル外伝2章5節)

武力による争いではなく対話による解決を望んでいた

ソロモン「知っての通り、軽度の罪でも天魔が人間を襲い、地上は荒れ果てつつある。だから私は、止めたかったんだ」

そう仕向けた神に、ソロモンは初めから武力による争いをする気はなく、あくまで対話による解決をしようとしていた。
(サマエル外伝2章3節)

ソロモン「サマエル……だめ…だよ…」
ソロモン「私たちは……戦による解決は……望んでいないはずだ……」
(サマエル外伝2章6節)

魔導師としての力が強く、王になった

ソロモン「天界と地上が平和な関係を築けた時……私は王の立場を誰かに譲り、退くつもりなんだ」
エル「あなたは……王ではなくなるのですか?」
ソロモン「うん。私は魔導師としての力が皆よりほんの少し強くて王になっただけだから……私よりも王にふさわしい者がいるはずなんだ」
(サマエル外伝2章6節)

堕天したサマエルの意を汲み、共に戦うことを決めた

ソロモン「私も共に戦おう。この身が地獄の底へ沈むことになっても……私の愛するこの世界を救うために」
(サマエル外伝2章6節)

ゴエティア-千の魔神と無限の塔-

ソロモン 神に滅ぼされた己の世界を救うために自ら地獄へ堕ち、世界を作り替えた。目的のためには手段を選ばず、他世界から熱量を奪って糧にしている。今作のラスボス。

地獄の始まり

 この世界は、「無」であった。
 無の世界に、「男」が堕ちた。
 男は神々より大いなる知恵と指輪を授かった「王」であった。
 王は、その知恵によって禁忌である「魔神」を使役した。
 神に与えられし「指輪」で己の身を護りながら。
 知恵と力により国を導いた男は、真の繁栄を見届けることなく散る。
 そして、死後――男は、この世界へと堕ちた。
……
 無の世界は、「地獄」であった。
 力と知恵、指輪と――そして、魔導書さえあれば、無の世界に「有」を生み出すことなど容易かった。
 力を得た、「無」――「地獄」であり、「基底世界」
 男はこの「地獄」……すなわち「基底世界」に「レメゲトン」――地獄の核である「地獄の支配者」に、「ゲーティア」という名を与えた。
 男が持つ、数々の魔導書からとった名だ。
 そして、基底世界は――男より、「意思」を授かる。
(エニグマ 一の石板 天恵)

 私が、名もなきただの観測者だった頃。この世界も、基底世界などとは呼ばれていなかった。
 名はおろか、言葉もない。世界の裏側にあるのは、死を収める闇だけ。
 そんな地獄に変化が起きたのは、あの人間の来訪がきっかけだ。
 大いなる力を持ち、神に反乱した英傑。地上の光、稀代の魔導師とも呼ばれた、一人の人間。私が観測を始めてから現在までの間、彼を超える者は誰一人として現れなかった、特別な存在。
 ある日、前触れもなく「地獄」へやって来た、彼。
 ――その者の名を、ソロモンという。
(第十塔界 名もなき世界の記録Ⅱ)

ソロモンが地獄に堕ちた理由

テウルギア「――私は、知っている。ソロモンが、何のために地獄へ堕ちたのか。何のために、基底世界に力を蓄えようとしているのか。何のために、基底世界と融合を果たしたのかを」
テウルギア「――かの男の目的は、ただ一つ。滅びの結末が定められた自らの世界を救うため。死すらも欺き、自ら地獄の扉を開いた。全ては、己の世界の救済のために仕組まれたこと。私はそれを知りながらも、観測者の役目に徹した」
(第十塔界 膨張し乱れる意思Ⅰ)

ソロモンの想い

「私は、全てを理不尽に奪われた。築き上げた国を、兵たちを――愚かな神々の、気まぐれの企みで。だが、非情なことに……世界の正義として祀られるのは、勝者だ。戦いに敗れてなお抗う勇気ある者たちは、みな「反逆者」と定義される。反逆者の烙印を押されても――私は抗い続けた。抗い、正義の神に刃を向け、そして――。――ここ、地獄へ至る道を拓いた」
「……私がどれだけ優れた力を持っていたとしても。たった一人の人間の力では、神へ対抗することなど不可能だ。故に、私はここで神に対抗し得る力を蓄えると決めた。必ずや己の世界を救うと覚悟を決め、地獄へ堕ちたのだ」
(基底心核 意識崩壊)

決して豊かとは言えぬ土地だった。

ひとたび塔界へ根を伸ばせば、私の世界より遥かに優れた場所など、いとも簡単に見つかった。

目を奪われるような美しい景色、豊富な資源、溢れんばかりの熱量。
神に全てを奪われることなく、平和を謳歌する世界。

その全てが妬ましく、憎らしい。
なぜ私だけが戦わねばならない?
なぜ私たちは戦わなければ明日を臨むこともできない?

何もかもが、不平等で不条理だ。

私を慕う全ての者たちに、誓った。
私を地の底へ送るため犠牲となった、赤き血に誓った。

世界に、平穏をもたらすことを。
神々を討つ力を得て、雪辱を晴らすことを。
奪われたものを取り戻すことを。

私は地獄を支配した。
基底世界を掌握し、神を討つ足掛かりを得た。

だが、これではまだ足りない。
全ての世界から熱を集めなければ、神の首を取るには至らない。

私の敵は、それだけ強大なのだ。
私の使命は、それだけ大きく重いのだ。

必ず、誓いを果たさなければならない。
私自身が鬼になろうとも。
私自身が神に等しきものとなり、神を討たなければならない。
(目録 レメゲトン・ソロモニア)

周囲の反応

アスタロト「ソロモンの……目的。滅びゆく自らの世界を、救うため……?」
メタティアクス「そのために、他の世界全てを犠牲にして? くだらない……くだらないわ。わたしはそんなもののために力を貸したんじゃない!」
メタティアクス「フン……今更吠えたところでどうにもならないけれど。随分と自分勝手なのね、英傑様っていうのは」
(第十塔界 膨張し乱れる意思Ⅰ)

メタティアクス「……なにが観測者よ。こんなの、もうとっくに観測の域を出ているわ」
アスタロト「誰よりも人を、世界を見ていた。奴は、言葉を獲得するずっと前から観測者とは名ばかりの何かになっていたのかもしれん」
メタティアクス「それでも不干渉の観測者でい続けようとして、基底世界で起こっていることを全てを黙殺してきた……。……馬鹿みたい。こんな記録、今すぐにでもソロモンを追い出したいって言っているようなものだわ」
(第十塔界 膨張し乱れる意思Ⅱ)

誰かの声「地獄を丸ごと乗っ取れるほどの力――永い月日の中でも、ソロモンが本来持っていた力は全く失われなかったようね。ホント、嫌になっちゃうくらい反則じゃない。でも、彼がここへやって来たのは、本来の自分の世界を救うためだった。これだけの力を持っていながら倒せなかった相手かぁ。なんだか末恐ろしくなっちゃうわ」
クラウラ「私には神を信仰するような意思はないけど、圧倒的な力を前にひれ伏すしかない人間の気持ちが少しだけ分かった気がするの。……でも、ひれ伏さずに戦った人間もいた。ソロモンと、そして――「あなた」という存在を巡る螺旋回廊の始点。この世界の王になり、ソロモンに絶大な力を与えるはずだった人間。彼らの願いを無碍にするつもりはないわ。テウルギアが観測してきた世界の中で、どれだけの苦悩の果てにこの道を選んだのかも知ってる。他の世界から力を奪うような卑劣な鬼になろうとも、自分たちの世界を救いたいという願いは、覚悟を決めなければ抱けないわ」
(基底心核 彼女の声)

ティア「さあ、「ソロモン」。永い永い君の戦いに、決着を付けよう。君の悲願と、僕たちの望み――どちらが勝つのかを。きっと、何も間違っていないんだ。君たち人間も、僕たちも、魔神も――なにかの犠牲の上に成り立っている」
アスタロト「この戦いに勝利した方が、「正しい歴史」となるか……。ククク、それはそれで面白いではないか」
メタティアクス「「取るに足らない者たち」がどれだけしぶといのか、思い知らせてあげるわよ……「稀代の魔導師、ソロモン王」!」
(基底心核 レメゲトン・ソロモニア)

決戦後

「………………消えていく。私の世界の、弱き民が。神に抗う術を持たぬ、非力な者たちが。消えていく……緑の大地が。燃やされ、砕かれ、死んでいく。消えていくのだ、お前たちの行いによって。世界は救われることなく、蹂躙され死に絶える。お前たちが、私の世界を――」
メタティアクス「――殺したも同然だ、なんて言うつもり?」
アウトテート「それは違うだろ……お前だって分かってるはずだぜ、ソロモン」
ハルパクス「あなたは……心の何処かで待っていたのではありませんか。誰かが、あなたの「戦い」を止めに入ることを」
メタティアクス「だからこそ、主人公がここまで進んでくるのを止めなかった。……違うかしら?」

ソロモンは、メタティアクスの問いに沈黙で答える。
鋼鉄の体の表情こそ分からないものの、あなたには彼がどんな顔をしているのか分かるような気がした。

アスタロト「お前の世界に生き、明日を望んだ者たちにとっては世界を救わんとするお前はまさしく救世主そのものであっただろう」
バエル「じゃが、オヌシは敗れた。一度は神々に敗れ、そして此度は――数多の枝から熱を吸い続ける基底世界を切り離し、全ての世界を在るべき形に戻さんとする主人公に、オヌシは敗北したのじゃ」
ベリアル「まだ戦うっていうならあたしは相手してやるぜ。……もうそんな力なんて、どこにも残ってないだろうけどな」

「……」

ソロモンは、やはり答えない。
いつの間にか独白の声ですら掻き消え、目の前の鋼鉄は物言わぬ器となっていた。

レン「ど、どうなったのですか……?」
テウルギア「……ソロモンの魂――いや、「執念」というべきか。それが、霧散して消えていった。散り際すら見せないとは、王の矜持といったところか……」
(基底心核 悲願と執念)

ソロモンの魂を持つ者たち

ゴエティアクロス

ソロモン 堕天使と結託し神に戦いを挑んだ、地上の王。暁の協会の設立者。10人以上の兄弟と数人の子どもがいる。忘却の奇譚―サマエル編―にて登場。サマエルとは相思相愛の仲だった。

主人公 ソロモンの子孫。記憶喪失で、自身がソロモンの末裔であることを知らない。ウリエルがソロモンと間違えたほど容姿もしくは魂がソロモンと似ている。

↓ 数千年後?

ゴエティア-千の魔神と無限の塔-

ソロモン 神に滅ぼされた己の世界を救うために自ら地獄へ堕ち、世界を作り替えた。目的のためには手段を選ばず、他世界から熱量を奪って糧にしている。今作のラスボス。

あいつ 先代候補者。ソロモンの生まれ変わりで、彼と同じ世界から地獄に堕ちた。その存在は他者から語られるのみであり、直接的には登場しない。▹ゴエティアでのあいつについて

主人公 当代候補者。王にならなかったあいつの代わりとして召喚された、あいつの並行存在。あいつと酷似しており、同じことを繰り返すことを恐れたアスタロトによって記憶を奪われている。ソロモンとの決着をつけた後は転生し、観測者レンに見守られている。

本編主人公以前の主人公 幾回、幾人も呼び出されては失敗していた。主人公が召喚される10日前に召喚された人物は2日で同期のジェイクに刺殺されている。