ゴエティアクロス-異界の来訪者:マステマ編2

幼なじみの話を掘り下げてます

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「帰りたくないのなら、自分が面倒を見る」
自分がこの子を助けてあげたい、助けてあげなきゃ。後先考えない、感情任せの言葉。これまでの物語を読む限り主人公は厳しい現実の中を生きている人で、全てを救える英雄の登場はありえないと知っているし、出会ったばかりの孤児の子をその場限りの善意や同情で助けたところで世界は変わらないと知っている。だから今回の「自分が面倒を見る」は本当に考えるより先に口をついて出た言葉なんだと思います。

自分達で面倒を見よう、ではなく「自分が」なあたり、無意識のうちにクロウ達に迷惑はかけられないと思っていたのかもしれません。そんな主人公の想いを汲み取ったクロウが「わたしたちで面倒を見られないか師匠に掛け合ってみましょう」って提案したのがめちゃくちゃ好きなんですよね…。わたし「たち」なんですよ。あなた一人の問題にはさせないんですよ。しかもクロウは「身体能力が高いから雇ってもらえる可能性はある」と具体的な策もあります。彼自身が彼女を放っておけないのと、助けてあげたい主様の気持ちを受け入れつつも、冷静に物事を見ています。このへん、階級が同じのクロウが隊長で主人公が副隊長なわけが見えた気がしましたね…。
主様が突っ走ってクロウがフォローする、は幼少期からやっていたんじゃないかと強めの幻覚を見てしまった………………。幼馴染って素晴らしい。最高。普段は逆で、時々そういうことをやらかすからこそいつも自分がやってる自覚があるクロウがフォローしてたパターンも最高だと思います。

感情に流されている弟子にアドニアは正論をぶつけます。そりゃそうです。戦力増えるのを喜ぶのかとも思いましたが、流石に右も左も分からない女の子を居場所を作るためだけに戦わせる気はないらしい。でも主様は絶対に譲りません。「お前がここまで頑固だとはな」の言葉を見る限り、幼少期の主様は聞き分けのいい子どもだったように感じます。昔からこうだったなら「お前は言い出したら聞かないな」とかそういう言い方をしそう。あまりにいつものあなたと違う、ともあるので、魔導師になってからも主人公は落ち着いた人だったのがわかります。滅多にない子供の我儘に、育ての親が渋々折れる………………最高の親子を見たな………。

孤児院の話、幼馴染尊い(IQ3)
クロウの話しぶり的に、主人公とクロウは元々仲が良かったところに女の子が入ってきたっぽい。少女の方が年下だったっぽい雰囲気もある気がするので、先に孤児院にいた子どもとして新しく入ってきたその子をかまってあげたのかもしれません。でも二人も子どもなので、子どもの駄々に耐えられないんですね。理由も覚えていない、些細なことで喧嘩した経験は誰しもあるのではないでしょうか。もう知らない! って女の子を置いて元々仲が良かった二人で先に帰ってしまいます。二人の今の性格を考えると、あとで謝ろうと反省してたかもしれません。でも再会は叶わなかった。亡骸にも会えなかった。自分達があの子を一人にしてしまったから、彼女は一人でしんでしまった。記憶を失くしても、心のどこかにわだかまりとして残ってしまった苦い記憶。

主様は死にかけた時に大半の記憶を忘れてしまっているので、思い出したクロウが話しています。二人は同じ時間を共有し、同じ想いを抱えていたんです。子供同士の話ですし、恐らくアドニアも詳しくは知らないと思います。知っていても大人からすればよくあることでしょうから、彼はこの話をしても思い出さない気がします。エルもリガルも知らない、幼馴染だけが知っている遠い日の記憶…………尊い。

私はあまり「尊い」という感情が分からないほうで、滅多に使ってこなかったんですが、追想そうなる試練の中にの幼馴染の二人でしみじみと尊いってこういうことをいうんだな……と実感させられましたね。またの名をサンクチュアリ。聖域。
二人の幼少期の話を読んでみたくて、散々幻覚を見続けて、追想なる試練の中にで叶ったんですけど、あれは魔導師になってからの話だったため魔導師になる前の二人の話をいつか外伝で少しでも触れられたらいいなって夢見てました。叶ってしまった。むり。いやまじでむりです。一カ月前から告知してほしい、心の準備するから。いきなりぶちこんでこないで!!!!!? 最高の幼馴染を見せられて気が狂わずにはいられない。

記すか迷いつつ、今の気持ちを正直に書いておくか~~~と書いておきますが、今回の話でノロロタのイベントを思い出して気になった部分がありました。歳も同じくらいっぽい孤児の彼女達とマステマの違いはなんだろう? と。別世界線の話だろうからある程度切り離した方がいいだろうな、とは思いつつも。あの時の主人公が二人を見守る方向に決めたのは、彼女達には一緒に生きてくれる半身がいて、自分達で生きていく力があるけれど、マステマは置き去りにしたら死しかないと分かってしまったから、恐らく帰りたくないと駄々をこねたんだろうかつての少女と重なったのかな。アドニアに諭されても尚考えを変えなかったのは、「今度こそは自分の手で救いたい」と意固地になっていたせいもあるんでしょうか。
あの時の主様も、今回の主様も、どちらも好きです。どちらが良い悪いではなく、状況によって取る行動が異なっているだけで両方この人の持つ一面だと思うので。

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